大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

青森地方裁判所 昭和61年(わ)236号 判決 1987年5月07日

被告会社

本店所在地

青森県八戸市大字市川町字下揚四五番地九

有限会社中道水産

(代表者 代表取締役 中道忠志)

被告人

本籍

青森県八戸市沼館一丁目一四番

住居

同市沼館一丁目一四番一〇号

会社役員

中道忠志

昭和一一年三月二九日生

主文

被告会社有限会社中道水産を罰金一〇〇〇万円に、被告人中道忠志を懲役一〇月に処する。

被告人中道忠志に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社有限会社中道水産は、青森県八戸市大字市川町字下揚四五番地九に本店を置き、魚油、魚粕の製造販売等を業とするもの、被告人中道忠志は、同会社代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人中道忠志は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上を除外し、これにより得た資金を架空名義の定期預金にするなどの不正手段により所得を秘匿した上

第一  被告会社の昭和五七年七月一日から同五八年六月三〇日までの事業年度における実際所得金額が九、二一四万八、二六一円で、これに対する法人税額が三、七六四万九、〇〇〇円であるにもかかわらず、昭和五八年八月三〇日、青森県八戸市大字番町一〇番地の四所在の八戸税務署において、同税務署長に対し、所得金額は零で納付すべき税額がない旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同事業年度の正規の法人税額三、七六四万九、〇〇〇円を免れ

第二  被告会社の昭和五八年七月一日から同五九年六月三〇日までの事業年度における実際所得金額が二、五五〇万八、三四一円で、これに対する法人税額が九九一万一、一〇〇円であるにもかかわらず、昭和五九年八月三一日、前期八戸税務署において、同税務署長に対し、欠損金額が六二万四、〇三六円で納付すべき税額がない旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同事業年度の正規の法人税額九九一万一、一〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

一、被告人兼被告会社代表者中道忠志の当公判廷における供述

一、被告人の検察官に対する供述調書、大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、中村主税、亀良太郎、日高省吾、原田留夫、服部治、中道豊子、星慶夫の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、日高省吾、亀良太郎、田名部栄子作成の各上申書

一、早川慎一作成の取引内容照会回答書

一、大蔵事務官作成の告発書、売上・簿外売上・売上(認容)・仕入・期末棚卸・運賃・減価償却費・簿外振込手数料・支払利息・公租公課・事業税認定損・繰越欠損金当期控除額・申告欠損金・銀行各調査書、各脱税額計算書、各修正申告書謄本、青色申告の承認申告書謄本、青色申告の承認の取消通知書謄本

一、国税査察官作成の各写真撮影報告書

一、被告会社の登記簿謄本

一、押収してある法人税確定申告書三綴(昭和六二年押第七号の一、三、五)、同修正申告書二綴(同押号の二、四)

(法令の適用)

被告会社につき

一、判示各所為

各法人税法一五九条一項、一六四条一項

一、併合罪処理

刑法四五条前段、四八条二項

被告人につき

一、判示各所為

各法人税法一五九条一項(所定刑中各懲役刑選択)

一、併合罪処理

刑法四五条前段、四八条本文、一〇条(判示第一の罪の刑に法定の加重)

一、執行猶予

同法二五条一項

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 栗原宏武)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例